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 瓦礫の森に風が吹いている。
 かつては一千万人もの人々が暮らしたメガロポリスの、それは死骸だ。
 世界の半分を焼き尽くした人類史上最大最悪の大戦争、いわゆる第三次魔女革命から数年。その最後の戦場となった広大にして巨大な都市の残骸は、かつての名を取ってこう呼ばれていた。

 ――東京廃街。

 その中を、二人の男が歩いている。
 精悍な顔つきの大柄な青年と、青年と呼ぶには些か幼く見える少年の二人組だ。
 彼らは、遠く、しかしはっきりと目視できる巨大な塔を目指して真っ直ぐに歩いていた。
 たった一人の手によってもたらされた、世界と空間とを引きちぎる程の極大の暴力が第三次魔女革命を終結に導き、その余波がようやく過ぎ去った後に突如として現れたそれは、ありとあらゆる科学技術によって暴き尽くされたこの世界における、最新にして最大の人類未踏の地であり、ある種の希望と恐怖、即ち畏敬の念をもって「世界塔」と名付けられた。

 それは言うなれば、人類にとってのまだ見ぬ可能性そのものが形を持ってそびえ立っているようなものである。
 今まさにその可能性を目指して歩を進める二人の男の足取りは、しかしその意義に反してひどく重かった。