関西人の言う「知らんけど」の信憑性の話

をします。

 
関西人はよく、人づてに聞いた話や真偽の疑わしい話をした後で「知らんけど」という魔法の言葉を使うのですが、本当に知らなければそもそも話題に上がるはずもなく、つまりある程度は「知っている」わけです。知らんけど。
ではどの程度知っているのかと言いますと、これはなかなか見極められるものではありません。人によっても話題によってもまちまちです。知らんけど。
 

「知らんけど」の種類の話

実は「知らんけど」の意味と用法は概ね3種類に分けることができます。
一つは「嘘か本当かわからない」という意味での「知らんけど」
もう一つは「情報ソースはあるが、ある程度自分の憶測が混じっている」という意味での「知らんけど」
最後の一つは「真に受けてもいいけど、それによって君に何らかの問題が生じても関知しないよ」という意味での「知らんけど」です。
これらの使い分けは基本的にその会話の内容やその場の空気によってなされるものであり、そして多くの場合その意味は複合的です。そのため、「知らんけど」に習熟していない初心者が混乱してしまうのも無理のない話なわけです。知らんけど。
以上を踏まえて、各種の「知らんけど」を見分ける(聞き分ける?)方法をここに記します。
 

真偽不明の知らんけど

どうでもいいけど「真偽不明のしらんけど」ってラノベタイトルっぽいですね。「しらんけど」は「アンノウン」とかそういうルビ振られそう。
それはともかく、真偽不明の「知らんけど」は、多くの場合内容が簡潔な話題に用いられます。完全に主観で適当なことを言っているだけの場合もありますが、多くは伝聞の話題にも用いられます。
多くの場合、情報ソースを訊ねるだけで判別可能です。知らんけど。
 
【会話例】
「今日雨降るんとちゃう? 知らんけど」
「へー。天気予報見たん?」
「見てへんけど」
→信憑性なし
 
「○○さん仕事辞めるらしいで。知らんけど」
「ホンマに? 誰から聞いたん?」
「××さん」
→この場合は××さんの普段の言動から信憑性を判断すること
 
 

憶測混じりの知らんけど

憶測混じりの「知らんけど」は、概ね伝聞の話題を補完する形で使われます。
話が冗長だったり、「多分」「思う」といったキーワードが頻出する話題の末尾につけられることが多いのが特徴です。知らんけど。
この場合、どこからが憶測なのかの判断は上記のようなキーワードから判断しますが、わかりやすいのであまり意識しなくても良いでしょう。
 
【会話例】
「今年の冬は寒なるってテレビで言うとったわ。夏もめっちゃ暑かったし、多分異常気象やろな。知らんけど」
→異常気象のくだりは憶測ですが、前半の情報だけなら信憑性は高そうです
 
「○○さん仕事辞める言うてはったわ。ストレス溜まっとったんやろな。知らんけど」
→同上
 
 

責任回避の知らんけど

一番タチの悪い「知らんけど」です。
前述した憶測混じりや真偽不明の情報と合わせて使われることが大半です。知らんけど。
この場合「(真に受けた結果どうなっても)知らんけど」という意味合いになります。
聞いている自分に影響の無い範囲の話題であれば無視しても構いませんが、何らかのアクションが必要となる場合は憶測や真偽を判別するのと同じ方法で確認しましょう。
 
【会話例】
「晴れてるし傘いらんのちゃう? 知らんけど」
→憶測混じりとの複合型。「傘はいらないだろう」という憶測と、それを信じて雨に降られても責任は取らないという2つの意味を持つ。
 

「知らんけど」をキメられた時の対処法

最後に、面倒だと思うので「知らんけど」と言われた時のシンプルな対処法を2つ書いておきます。これはどのタイプの「知らんけど」にも概ね効果がありますので、積極的に使っていけ。知らんけど。

・信じない

語尾に「知らんけど」とついた話に関しては一切合切信じる必要はありません。
真実が混じっていようがいまいが、「知らんけど」で終わる以上、どこかしらに本人でも疑わしい情報が紛れ込んでいます。知らんけど。

・ツッコミで話題を終わらせる

新喜劇における「邪魔するで」→「邪魔するなら帰って」と同じパターンで。

「知らんのかい!」
「知ってることだけ喋れや!」
「知らんのやったら言うなや!」

…など。好きなの使ってください。

ツッコミによって話題に「オチ」を作ることにより、その話題を断ち切ることが出来ます。

余談ですが、ツッコミを入れることで強制的に話題を終わらせる方法は、関西弁スピーカーとのコミュニケーションにおいては非常に効果的です。知らんけど。

 

グローバルに活躍するインターナショナル人材を目指す皆様におかれましては、異文化コミュニケーションの一環として積極的にご活用頂ければと思います。

まぁわたしは関西弁と標準語のバイリンガルやから知らんけどなガハハ。